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学内格差

こちらの大学に来て驚く事の一つは、学部によって持っているお金の額が大きく異なるということです。
特に建物などの施設を見るとその差は顕著です。例えば僕の所属するコンピュータ関係の研究室はご覧のような建物を始めとした立派な建物がいくつもあり、コンピュータ等の施設も充実しています(この空き地にもConputer Scienceの新しい建物が建つそうです)。一方、いわゆる文系の学科や物理学等の理学部系の学科に行くと、建物は老巧化し、中の施設も古く、一見してその格差が分かります。
この格差の大きな原因は、これらの施設が外部からの寄付に大きく頼っている事です。イリノイ大学は州立大学ですから、基本的には税金で賄われているわけですが、実際には外部からの多額の寄付に頼っている部分があります。例えば、建物一つ建てる場合、まず外部からの寄付を募り、あるまとまった額になると州に申請し、州はその寄付金と同額の金を補助して建物を建てるといった具合です(100万ドルの寄付があれば、州から100万ドル補助が出て200万ドルの建物が建てられる)。例えば写真左側のBeckman Instituteという建物は、ある製品で巨万の富を築いたBeckmanさんという人が多額の寄付をして出来た建物で、その人の名前がついています。アメリカの大学にはこのように寄付した人の名前がついた建物がたくさんあります。
今ですと、やはりコンピュータやハイテク関係の学科は多額の寄付を集められますから施設もどんどん拡充できますが、そうでない学科は州のお金のみに頼るしかなく、なかなかきれいな建物を作ることもままならないということになります。
日本の大学でも多少はこういった傾向はあるかと思いますが、ここまで顕著ではありません。以前に「産学協同」で書いたように、やはりこちらの大学のほうがより金儲けに直結した研究をしているということと無縁ではないでしょう。非常にアメリカらしい1面だと思います。



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